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著名なユダヤ系アメリカ人 ~ノーベル賞受賞者と作家

レオニード・ハーヴィッツ 

Leonid Hurwicz(経済学者)2007年ノーベル経済学賞を最高齢(89歳)で受賞。メカニズムデザインの理論の基礎を確立した業績により、ロジャー・マイヤーソン、エリック・マスキンとともに受賞しています。1917年の10月革命の直前に、モスクワのユダヤ人の家に生まれ、家族と共にポーランドのワルシャワへ移り、そのまま成長しワルシャワ大学で法学を学びますが、2年目から経済学に興味をもち、経済学の講義も受けるようになりました。1938年ワルシャワ大学で法学の学位を取得後、1938年 ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)に留学しますが、経済学の学位はとっていません。ビザの延長が拒否されたこともあり、難民としてフランス・スイスとパートタイム学生として勉学に励み、スイス→スペイン→ポルトガルを経てアメリカのシカゴへ。アイオワ州立大学、イリノイ大学、最後はミネソタ大学の教授へ就任しました。

ダニエル・カーネマン 

Daniel Kahneman(経済学者)2002年ノーベル経済学賞を受賞。経済学と認知科学を統合した行動ファイナンス理論及びプロスペクト理論で有名な心理学者、行動経済学者です。1934年テル・アヴィヴで生まれ、パリで過ごしています。1948年、イスラエル独立直前のイギリス委任統治領パレスチナへ移住。1954年、エルサレムのヘブライ大学で心理学と数学を卒業。1958年 カリフォルニア大学バークレー校で博士号を得る勉強のために、アメリカに移住。1961年 カリフォルニア大学バークレー校で博士号(心理学)を取得。ヘブライ大学の講師を経て、ブリティッシュコロンビア大学・心理学教授、カリフォルニア大学バークレー校・教授、プリンストン大学の教授(1993年~2007年)在任中の 2002年にノーベル経済学賞を受賞しました。

ハンス・アルプレヒト・ベーテ 

Hans Albrecht Bethe(物理学者)1967年 ノーベル物理学賞受賞。「原子核反応理論への貢献、特に星の内部におけるエネルギー生成に関する発見」によっての受賞です。1906年シュトラスブルク(現フランス・ストラスブール、当時ドイツ領)で生まれました。フランクフルト・アム・マインで物理学を学び、ミュンヘン大学で博士号を取得。ケンブリッジ大学などでのポスドクの後、テュービンゲン大学の教職員となりましたが、ナチスが政権を握った1933年にドイツからイギリスに逃れ(ユダヤ系のため)マンチェスター大学の講師を務め、1935年にはアメリカのコーネル大学の教授となりました。ベーテの業績は極めて多岐に渡り、最も重要なものは1939年に恒星内のエネルギーが核融合反応であることを明らかにしたことです。他にも荷電粒子のエネルギー損失に関するベーテ公式や原子核の結合エネルギーに関するワイツゼッカー=ベーテ質量公式など。これら原子核反応理論に関する一連の業績によって、1967年にノーベル物理学賞を受賞。既に80代になっていた1990年にも、いわゆる太陽ニュートリノ問題に関連して重要な論文を残しているほど、旺盛な研究意欲で知られています。

アルベルト・アインシュタイン 

Albert Einstein(物理学者)特殊相対性理論と一般相対性理論が有名ですが、「光量子仮説に基づく光電効果の理論的解明」によって1921年のノーベル物理学賞を受賞。数々の業績がありますが、20世紀最大の物理学者とも、現代物理学の父とも呼ばれています。たくさんの科学的業績がありますが、業績によって得た世界的名声を背景に、アインシュタインは様々な政治的発言を行っています。第一次世界大戦中は平和主義を掲げ、戦争を公然と批判し、反戦運動に影響を与えましたが、第二次世界大戦の際には、一転して戦争を正当化。同時代人の文学者ロマン・ロランから後に痛烈に批判されています。また、ユダヤ人である彼は、ユダヤ人国家建設運動であるシオニズムを支援しました。このためナチス・ドイツから迫害を受け、アメリカに亡命しています。彼の功績は多々ありますが、彼の名言で「人間が頭で考えることは、すべて実現可能である」という言葉を残しています。1968年に発行された旧5イスラエル・リラ紙幣に肖像が使用されていました。

ハーバート・アーロン・ハウプトマン

Herbert Aaron Hauptman(数学者)1985年度のノーベル化学賞をジェローム・カールとともに受賞。分子の結晶構造の決定に新しい数学的方法を導入し、新しい時代を切り開きました。現在では、ハウプトマンが改良、改善した「ハウプトマンの直接法」は複雑な分子の構造を解くために世界中の研究室で使われています。広く使われているこの数学的方法を開発したことに対しての受賞です。1917年ニューヨークで生まれました。両親は、ユダヤ人移民のイスラエル・ハウプトマンとレア・ローゼンフィールド。幼い頃から科学と数学に興味を抱き、タウンセンドハリス高校→ニューヨーク市立大学シティカレッジを経て、1939年にコロンビア大学で数学の修士号を取得。1954年に博士号を取得。その後ジェローム・カールとX線結晶構造解析の直接法の基礎的な研究を始めました。1953年のモノグラフ「位相問題の解決1 中心対称性を持つ結晶」 (Solution of the Phase Problem I. The Centrosymmetric Crystal) の中では、最も大切なのは確率的な方法論を導入することだというアイデアが述べられています。1970年、彼はバッファロー医学財団の結晶学グループに参加、1972年にリサーチドクターになりました。この時代の初期には、彼は近い原理を系統立てて概念を拡大することを進め、これらの理論は後の数十年でさらに発展していきました。

ルドルフ・アーサー・マーカス 

Rudolph "Rudy" Arthur Marcus(化学者)1992年電子移動反応理論への貢献でノーベル化学賞を受賞。彼の名を取ったマーカス理論は、外圏電子移動の熱力学的および動力学的機構を説明します。マーカス理論は1986年にジョン・ミラーらの研究グループによって実験し確認されました。1923年7月カナダのケベック州モントリオールに生まれました。マギル大学に通い、1943年に理学士号取得、1946年に博士号を授与されました。1958年にアメリカ合衆国に帰化します。同年よりニューヨーク市立大学ブルックリン校、1964年よりイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の教授を歴任。現在はカリフォルニア工科大学教授。

ポール・バーグ 

Paul Berg(生化学者)1980年ノーベル化学賞受賞。フレデリック・サンガー、ウォルター・ギルバートらとともに受賞しました。この3人は、核酸の初期の研究に多大な貢献をしたことで知られています。1926年ニューヨークブルックリンに東欧系ユダヤ人移民の家庭に生まれました。1943年アブラハム・リンカーン高校を卒業。1948年にペンシルベニア州立大学卒業後。1952年にケース・ウェスタン・リザーブ大学で博士号取得。大学院時代には、代謝中間体を研究するのに放射性同位体を用いた実験を行いました。炭素や窒素の同位体を用いた実験によって、食物がどのような過程を経て細胞構成物になるのかが明らかにしました。博士論文のテーマは、ギ酸、ホルムアルデヒド、メタノールを、完全に還元された状態であるメチル基としてメチオニンに変換する研究。今ではよく知られていますが、葉酸やビタミンB12の補酵素が機能を持っていることを最初に証明した1人でもあります。専門は代謝生化学。スタンフォード大学の教授に就任。現在は組み換えDNAやHIV-1ウイルスの研究を行っています。

アイザック・アシモフ 

Isaac AsimovI(作家)アメリカの作家で、生化学者。非常に成功した多作の作家であり、その著作は500冊以上を数えるほどです。。彼の扱うテーマは科学、言語、歴史、聖書など多岐にわたりますが、特にSF、一般向け科学解説書、推理小説によってよく知られています。

1920年1月、ロシアのペトロヴィッチで、父ユダ と母アンナ・レイチェル との間にユダヤ系ロシア人イサアーク・ユードヴィチ・オジモフとして生まれました。3歳の時に家族とともにアメリカに移住、ニューヨーク・ブルックリンで育ちました。家庭は裕福ではありませんでしたが、学業成績は優秀。公立校や高校を飛び級で卒業した後、1935年に15歳でコロンビア大学へ入学。在学中の1938年に初めての作品をSF雑誌に持ち込んでいました。1939年コロンビア大学を卒業。そして、同年『アメージング』誌に「真空漂流」が掲載され作家としてデビューしました。コロンビア大学大学院で化学を専攻。第二次世界大戦の勃発を理由に大学院を休学し、フィラデルフィアの海軍工廠へ勤務。1946年に大学院に復学、1948年には博士号を取得したものの就職口は得られなかったため、コロンビア大学で1年間博士研究員を勤めた後に、1949年からボストン大学医学部の生化学の講師となりました。大学では講義と研究の他に共同で教科書の執筆を行い、一般向けのノンフィクションを書くきっかけとなり、。この頃にはアシモフはSF界の第一人者として認められていました。彼の栄誉をたたえ、その名を冠したものとして、アシモフという小惑星、アシモフという火星のクレーター、SFのアイザック・アシモフ賞があります。またアシモフが出た高校もアイザック・アシモフ高校という名前になっています。東京大学で2003年に開発された、起き上がり動作に特化したロボットが、アシモフの小説に登場するロボットR・ダニール・オリヴォーと同じ「Rダニール」と名付けられました。

ソール・ベロー 

Saul Bellow(作家)1976年ノーベル文学賞受賞。カナダのケベック州ラシーヌで1915年貧しいロシア系ユダヤ系移民の子として生まれました。本名ソロモン・ベローズ(Solomon Bellows)。1924年に、家族とともにシカゴに移住。シカゴ大学・ノースウェスタン大学で人類学・社会学を学んだ後、ウィスコンシン大学で人類学の修士号を取得。大学院在学中から執筆活動を始めました。デビュー作は1944年『宙ぶらりんの男』。以後、順調に創作活動を続け、『オーギー・マーチの冒険』『ハーツォグ』『サムラー氏の惑星』で全米図書賞を三度受賞し、『フンボルトの贈り物』でピューリッツァー賞を受賞。現代アメリカを代表する作家として活躍しました。